データと自動車業界:自動車イノベーションの未来を推進するSnowflake

自動車業界は、ここ数十年で劇的な変化を遂げました。2005年には、ほとんどの自動車は機械としては洗練されていましたが、デジタル機能や統合の面では限界がありました。現在の自動車は、ソフトウェアデファインド、クラウドコネクテッド、向上した自律性、無線(OTA)アップデートによる継続的な進化などによって表現される、車輪の付いたコンピューターといえます。
その進化は、テクノロジーの進歩によって驚異的なスピードで加速しています。たとえば電気自動車です。2018年のわずか2%から、2023年には18%に増加しました。安価なセンサー、高速ワイヤレスネットワーク、クラウドにより、データ、アナリティクス、AIが自動車のライフサイクル全体の中心となり、完全なトランスフォーメーションが実現しました。
自動車会社がこの驚異的な変化速度とスピードに対応してさらなるイノベーションを推進できるよう、Snowflakeは自動車業界に特化した自動車ソリューションを提供することで、AIデータクラウドを強化しています。
ここでは、Snowflakeの製造業界担当グローバルインダストリーGTMリードであるTim Longと、Snowflakeの製造業界担当フィールド最高テクノロジー責任者であるPugal Janakiramanが、自動車会社が現在直面している最大の課題と機会について説明します。
自動車業界やその周辺で起きているすべてのイノベーションにおいて、データは重要な役割を担っています。この業界が直面している、データの最大活用の障害となっている課題は何でしょうか?
業界の前進に必要なデータを確保することは、さまざまな理由から非常に困難となっています。
サイロ化されたデータ:データは自動車の設計、生産、アフターマーケットのシステムのすべてにおいてサイロ化されているため、車両のライフサイクル全体にわたってエンドツーエンドで分析することはほぼ不可能です。
データ量:製造プロセスやコネクテッドカーにおけるセンサーの急速な台頭により、データ量は膨大なものとなり、さらに飛躍的に増加し続けています。たとえば、1台の車で1時間あたり20GB以上のデータを生成できます。しかも、これは保守的に見積もった数値です。全世界では、年間約1億台の自動車が生産されています。
レガシーインフラストラクチャ:レガシーインフラストラクチャは、スケーラビリティに限界があります。スケーラビリティは自動運転ソリューションや自動車設計で使用される「デジタルツイン」を開発するために必要となります。
難しい企業間コラボレーション:自動車OEMとその何千ものサプライヤー、パートナー、顧客間の生産的な協力は、煩雑で複雑になります。
過去数十年間、自動車業界は、製品ライフサイクル管理、企業関係計画(ERP)、製造実行システムなど、特定のプロセス領域、つまりサイロ化されたシステム内で効率を高めることに主眼を置いてきました。しかし現在では、クラウドで無制限のコンピュートを利用できるうえ、AIによってビッグデータ分析ツールが成熟してきているため、組織は部門やシステムのサイロにとらわれない効率化を図ることが可能です。
とはいえ、「コネクテッドカー」から生成されるデータの量と速度を考えると、このクラウド化へのジャーニーは新たな課題をもたらします。さらに、ベンダーロックインへの恐怖から、多くの自動車会社がマルチクラウド戦略の採用を余儀なくされ、その結果、データサイロは、オンプレミスシステムだけでなくクラウドインフラストラクチャおいても存続して進化を続けています。
これらの課題を解決するために、Snowflakeが提供している主な機能は何ですか?
Snowflakeの自動車ソリューションでは、Snowflakeの強力なデータシェアリング機能とAI機能と、特化型のパートナーソリューションを組み合わせています。これにより、サプライヤー、OEM、流通、販売、サービスプロバイダーからなる自動車エコシステム全体で、車両開発のシームレスなコラボレーション、生産プロセスの最適化、自動車バリューチェーン全体でのリアルタイムのデータインサイトの活用が可能になります。Snowflakeを利用することで、自動車業界では次のようなデータドリブンなトランスフォーメーションを期待できます。
Easy(簡単):Snowflakeを利用することで、企業は社内、製造現場(IT/OT)、車両データ(構造化データと非構造化データの両方)をすべて1か所に統合し、Snowflakeのアナリティクス機能を利用して、データを移動することなくすべてを分析できます。
Connected(つながる):Snowflakeは、研究開発からアフターサービスまで、バリューチェーン全体にわたってシームレスなエンドツーエンドの可視性を実現します。
Trusted(信頼できる):組み込みのセキュリティ、ガバナンス、高可用性アーキテクチャを備えた、SnowflakeのAIとデータのワークロードのためのマネージドサービスは、自動車ソリューションを確実かつ迅速に構築するための強固な基盤を提供します。
この業界のコラボレーティブな性質を踏まえると、自動車企業はSnowflakeのパートナーとプロバイダーの強力なエコシステムからどのようなメリットを得られるでしょうか?
Snowflakeのパートナーエコシステムは、非常に難しい自動車ユースケースのソリューションの提供に成功しています。Accenture、Deloitte、EYなどのSnowflakeのシステムインテグレーターパートナーは、Snowflakeの製造業界向けAIデータクラウドにより、自動車製造企業のデジタルトランスフォーメーションを後押ししています。AWSとSnowflakeは、組織のデータの大規模な取り込み、変換、共有をサポートし、アナリティクス、データエンジニアリング、AI、アプリ開発における重要なワークロードを強化して、自動車製造企業のための統合されたデータとAIの戦略を実現します。フルマネージドのインフラストラクチャにより、企業は統合されたAIサービスやリアルタイムのコラボレーション機能を活用しながら、シンプルさ、スケーラビリティ、ガバナンスを得られます。SnowflakeとAWSを利用することで、組織はより多くのデータを活用して、AIドリブンなインサイトをより迅速に得られるようになります。
Snowflakeではさらに、業界をリードするさまざまなテクノロジー企業と提携して、主要なユースケースについて共通顧客向けのソリューションを開発しています。
製品開発:市場投入期間を短縮し、よりスマートな車両イノベーションを可能にします。
Concept Reply:高度なコネクティビティ、リアルタイムのインサイト、生成AIを、全体的な設備効率(OEE)のブループリントと組み合わせることにより、構造化されたアプローチを活用して製造プロセスを改善します。
Siemens Digital Industries Software:デジタルツインシミュレーションやAIドリブンな仮想検証を可能にすることで、先進運転支援システム(ADAS)開発などの自動車システム開発を強化し、ソフトウェアデファインドビークル(SDV)のイノベーションを促進します。
Mendix:Snowflake上のAI対応アプリケーションにより、シンプルな統合、高度な自動化、より一体感のある基盤を実現し、トランスフォーメーションを促進します。
Vertex:ファイル移動や、特定のコンピューター支援設計(CAD)プラットフォームへのロックインの心配なく、製品や工場の完全に忠実な3Dデジタルツインにアクセスできます。これにより、エンジニアリングの支援なしに、Snowflake上で、没入型の作業指示やサービス診断などの重要なユースケースをスケーリングできます。
サプライチェーン:調達と物流におけるレジリエンス、リアルタイムの可視性、コスト管理を強化します。
Blue Yonder:Snowflake上でリアルタイムで中断をモニタリングして物流を最適化する、サプライチェーンコントロールタワーソリューションを提供します。
Tredence:AI/MLモデルとSnowflakeソリューションアクセラレータを活用し、需要検知とサプライヤーのコラボレーション、製造プロセスの最適化、自動車顧客の可視性の向上を実現することによって、サプライチェーンの価値実現までの時間を短縮します。
本番稼働:スマートファクトリーのイニシアチブ、品質保証、予測的メンテナンスを推進します。
DXC Technology:コネクテッドモビリティ分析を可能にして、Snowflakeを使用する自動車企業のために、製品品質(DTCコードの根本原因分析(RCA)など)、SDV、部品計画、サービス/保証業務、データの収益化などを合理化します。
evolv Consulting:プラントレベルの自動オペレーションを強化し、プロセスを自動化します。
Cirrus Link、HighByte、HiveMQ、LTIMindtree:ネットワーク負荷を抑えながら、IT/OTデータをネイティブにSnowflakeに取り込み、製造現場のデータとエンタープライズデータのIT/OT統合を促進します。
Kipi.ai:Kalibrateは、Snowflakeネイティブアプリです。製造企業は設備や機械の故障可能性を予測して、ダウンタイムと障害に関連するコストを削減するための予防措置を取れるようになります。
LandingAI:LandingAIのSnowflakeネイティブアプリケーションであるLandingLensは、自動車製造業界向けのビジュアルAIを提供し、品質管理効率を改善しています。さらにLandingAIは、エージェント型のドキュメント抽出を提供し、プロセスフロー図や検査報告書などの複雑なドキュメントを正確に処理します。これにより、製造プロセスでより迅速かつデータドリブンな意思決定が可能になります。
Sigma:Snowflake内で大量のデータをネイティブに分析することにより、トレンドの把握や異常の予測が可能になります。これにより、さまざまな製造やサプライチェーンのユースケース(エネルギーの最適化、製造に関するインサイト、品質管理の自動化など)が実現します。
販売およびアフターサービス:車両オーナーシップの全体において、収益、顧客体験、データの収益化を改善します。
Snowflakeマーケットプレイス:EV充電ステーションマップ、モビリティ挙動トレンド、車両在庫データなどのデータプロダクトへのアクセスを提供して、マーケティング、顧客サービス、オペレーション計画を強化できるようにします。
自動車業界の次のフロンティアは何でしょうか。このフロンティアに到達するために必要となるものはありますか?
すべての自動車メーカーが、車両開発のプロセス全体で生成されるデータを活用し、AIドリブンなデジタルトランスフォーメーションに向けて動き出しています。このジャーニーを成功させるカギは、基盤となるクラウドインフラストラクチャに依存しない、強固なデータ戦略とデータ管理プラットフォームを持つことです。
Snowflakeは、AIデータクラウドと事前構築済みのソリューションにより、このジャーニーを加速させることができます。すべてのデータを統合できれば、AIを活用したデジタルツイン、完全自律型フリート、パーソナライズされたモビリティサービスの実現までのスピードをすぐに加速させることができます。
Snowflakeの製造業界向けAIデータクラウドに加わることで、新たな自動車ソリューションやパートナーシップにすぐにアクセスできるようになります。6月17日のウェビナー、Accelerating Automotive Innovation:Drive the Future of Mobility with AI and Dataでは、自動車業界におけるAIとデータの喫緊の課題と機会について、Penske Logisticsのデータサイエンスおよびアナリティクス担当副社長を務めるVishwa Ram氏がディスカッションを行います。